有珠山の構造探査(2001年

有珠山の北西外輪山の下,海抜0m付近に地震波速度が周囲より速い領域が見つかりました.この領域の回りには1910年,1943-45年,2000年噴火の新山が分布する一方.大規模な軽石噴火を伴った1977年-82年噴火の新山は領域内にあります.この分布は噴火場所や噴火様式が浅い構造の影響を受けていることをうかがわせます.

また,探査で得られた速度構造を用いて決定した2000年噴火に伴う前兆地震の震源は,地殻変動などから推定された圧力源や微動源を結ぶように分布し,この震源分布はマグマの上昇を示しているように見えます.

図1:有珠山および周辺地域のP波速度分布.赤い色ほど地震波速度が遅い領域,青い色ほど地震波速度が速い領域であることを示しています.また,黒太線で囲まれた領域は1910年,1943-45年,1977-82年および2000年噴火で形成された新山を現しています.

図2:P波速度構造と2000年噴火に伴う前兆地震の震源分布.赤点は 2000年3月27日〜29日夕刻までの震源,黄点は,これ以降の震源を現しています